何でもやります!

次の映画のスタッフにして下さい!

くっさん(沓澤の愛称)に
そう熱く語られたのは
前作「幸福な結末(しあわせな結末)」の
打ち上げ会場でのことだった
まだ「Ben-Joe」の
「べ」の字も出ていない頃だ

でもその言葉通り
彼はすべてを投げ捨て
三河映画に死力を尽くした

担当する撮影だけでなく
ロケ地の交渉
小道具・大道具の準備
セットの建設など
ありとあらゆることに力を注いだ

制作中
次々と立ちはだかる壁に頭を抱え
ともに励まし合い
乗り越えていった

あまりのプレッシャーに
彼は下痢と蕁麻疹の日々が続いた
撮影中追い詰められて
無口になっていったこともあった

本当によく乗り越えたくれた

彼がいなければ
「Ben-Joe」は成立しなかった
彼は私の心の支えであった

トライアル上映の後
涙するくっさんを初めて見て
そんなすべてが蘇り
私も胸が熱くなった

「何でもやります!」と
交わした言葉に嘘はなかった
彼は私に
人を信じる喜びを与えてくれた

監督 岩松あきら